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執筆者の写真Shunya.Asami

【Action 2016】被爆樹木を撮影する動機に付いて

ー被爆樹木を撮影する動機に付いてー

2016.8/25記述

個展の会場では制作の動機を尋ねられることが多い。

それは、「東日本大震災によって起きた福島第一原発の事故を受け、「原子力」についてリアルに考える機会を与えられ、その第1歩としてヒロシマに行く事が必要だと感じたからです。」と答えている。


計画停電により消灯した信号機 2011.3.17撮影




食料が棚から消え始めた 2011.3.14撮影



使用停止中のエスカレーター 2011.3.27撮影




2012年の夏で、思い立った様にヒロシマに向かった。

はじめに訪れたのは原爆ドーム。

原爆ドームの前に立つと、頭を鈍器で殴られたような衝撃が走った。 その場に立ち尽くし動けなくなった。しばらくしてベンチに腰掛け、 原爆ドームをボーっと眺めた。 多くの観光客が原爆ドームを背景に写真を撮っていた。 私もファインダーを覗いて写真を撮ろうとしたが、躊躇われた。 ファインダーの先の時間が「死んでいる」様に感じられ、その時間を止める事に抵抗感があった。 同時に、生きている者がアクセスする事ができないようなバリアを感じた。

次に、平和記念資料館に訪れ、様々な展示物を観た。 一番強く印象に残っているのは「人影の石」。 銀行の開店を待っていた人が、原爆の閃光を受けて大火傷を負い、逃げる事も出来ないままその場で命を落とした。強烈な熱線で周りの石段の表面が白くなり、その人がいた部分は黒くなって残ったという。 それを観たとき、私は、その方の冥福を祈るとともに、原爆はとても恐ろしい「写真」を撮ったのだとも感じた。

館内を一周し、館を出た頃は夕刻にも関わらず、空がとても青く高く感じた。 また白い道が一直線にその空に伸びている様なイメージが自分の中に入ってきた。 すこし疲れてしまって休憩所で休んでいたら、その休憩所のラックに、「被爆樹木マップ」があった。




被爆樹マップ



原爆によって被爆しても尚今も生きている木がヒロシマに約170本存在するという。 その木をめぐる散歩コースが掲載されていた。 一番近い木を探すと、爆心地から370mの場所にあるシダレヤナギだった。

早速、その木を訪ねてみると、原爆ドームから5分程の川沿いの土手に、しなやかに枝葉を揺らす木があった。 長い枝葉を伸ばし、美しく風を梳いている姿に感動し、幹に触れた時大きな感謝の気持ちが溢れた。








幹にはプレートがかけられていて被爆樹木の説明があった。




幹や枝葉に触れた時、この木が生きている事への驚きと感謝の念が溢れてきた。 同時に、「1945年8月6日8:15」は、「過去」ではなく、「現在進行形」の時間である事を実感した。 共に同じ時間を生きているこの木の存在は、私にそれを教えてくれた。

私はその木の「今いきている時間そのもの」を写しとりたいと思った。 これまでの感光紙によるフォトグラムの約10年の制作が、被爆樹木に出会う事でひとつの大きな転換を迎えた。

感光紙に被爆樹木の影を写すと、風にそよぐ枝葉がまるで「呼吸」しているように感じられた。








今年で8/6の8:15に黙祷をしながら撮影している作品は2014、2015、2016と3年分になり、今回の展覧会で多くの人の関心を寄せていただいています。







今年で8/6の8:15に黙祷をしながら撮影している作品は2014、2015、2016と3年分になり、今回の展覧会で多くの人の関心を寄せていただいています。



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●展覧会情報

『呼吸する影―被爆樹木と「被曝樹木」のフォトグラム―』 ーBreathing Shadow of Bombed Trees and Radiated Treesー







2012年から継続して制作し5年目を迎えるフォトグラムの作品シリーズ『呼吸する影』の新作を含めた作品展を開催します。  ヒロシマにある「被爆樹木(Bombed tree)」を、太陽を光源として直接、感光紙やデジタルセンサーに焼き付けたフォトグラム(カメラを使わずに撮った写真やその手法)に加え、今年から始まった新たな試みである、福島、千葉、埼玉の「被曝樹木」のワークも合わせて展示します。  現在の時間が直接、像として定着する作品を通して「今」について感じ、考え、対話できる時間となれば幸いです。

日時: 2016年8月17日(水)〜27日(土) 11:00-18:00(日曜休廊・最終日16:00まで) 

場所: Gallery:K 〒343-0821 埼玉県越谷市瓦曽根3-7-7小柳ビル3F http://www.studiok-web.net/ TEL&FAX:048-947-9135

●JR武蔵野線・京葉線「南越谷駅」より徒歩7分 ● 東武スカイツリーライン・日比谷線・半蔵門線「新越谷駅」東口より徒歩7分。 ● 駐車スペース有(カーナビでお越しの際は住所で検索してください)

展覧会関連企画:

・ワークショップ「影をつかまえる」 8/27(土)13:00-15:00 写真の古典技法を用いて、カメラを用いないで写真を撮る フォトグラムを制作。手ぬぐいに夏の時間を焼き付けます 要予約:小学生以上20名。材料費千円。予約は、048-947-9135。 講師:SeeSew(浅見俊哉と田村香織のアートユニット)

●関連リンク



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