【かがわ・山なみ芸術祭2016】連携事業
『影をつかまえる―Sunlight Flag Project 2016―』
去る、2016.2/22に香川県綾川町綾上小学校の6年生と5時間の授業を行いました。
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児童一人ひとりが「大切にしているもの」、「思い出の品」を持ち寄り、画面の構成を考え、太陽光で影を焼き付け「自分旗」をつくります。
今回の作品は、綾上小学校6年生の卒業制作として自分自身の「時間」を焼き付けます。
始めに、OHPを使って影の映り方を共有する「影クイズ」を実施。 透明なもの、金属の反射、不透明なものの写り方、立体のもののもつボケ具合、素材を組み合わせる事で不思議な影が出来る事などを確認しました。
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次に感光紙を用いて、実際に自分が持って来たものがどのように写るのかを確認しました。
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6年間使って来た文房具や、修学旅行で買ったキーホルダー、絵が好きな児童は絵の具セット、そろばんの達人は愛用のそろばんなど、児童一人ひとりが持ってくる品にはどれも「時間」が感じられるものでした。 校長先生は集めている虫の標本で制作。
その後、休み時間に校庭に木の枝や植物を採りに行く児童も現れました。 制作を通して、日常の空間に積極的な制作のまなざしを向ける眼はとても印象的でした。
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熱で現像し、現れた影に驚く児童たち。
普段はものの本体だけをみているけれど、影になるとそのものが違った印象になることに興味津々。
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鑑賞会では、友人の作品を紹介することで、友人のどこを工夫したかを発表してもらいました。
中には、担任の先生を推薦する一幕も!
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そしていよいよ、感光布で「自分旗」をつくります。
ここで質問が飛び出します。 「後ろに飾ってある松の布は、今制作した(感光紙の)作品と色が逆だ!!」と。
「とてもいい事に気がついたね!」と、感光紙では、ポジ像が得られるけれど、感光布では、ネガ像が得られる事を説明。 ポジティブとネガティブの言葉の由来にも気付いた児童たちはとても嬉しそうでした。
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画面の構成が出来た生徒からテラスで太陽光で露光を開始!
昔の写真のプロセスは、光との化学反応の時間、観光面の感度が低いため、焼きつくのに時間がかかります。今は一瞬で像を得る事が出来る感覚では体験できない長い反応の時間が必要になります。
私は写真撮影の本質は、「待つ時間」にあるのではないかと考えています。
その場に身を置き、その瞬間を収めたい!と思ってシャッターを切っても、シャッターが切られた瞬間(感光面に光が到達した瞬間)から像が焼きつくまでの反応時間分の時間(今回は約15分)が、その感光面に収められます。
そう考えると、感光面はいわばタイムカプセルの様にもかんじられます。昔の写真家たちはきっと、感光を待つ時間、様々な想いを巡らせていたのではないかと児童たちに伝え、「待つ時間」を大切に過ごしてもらいました。
光に化学物質が反応し、像が現れる約15分間の露光時間を仕上がりを想像したり、友人との会話をしたりしながら楽しみました。
給食をはさんで、5時間目は、私の広島でのワークの映像を見てもらいました。
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作品をつくることでその作品や活動に込めたメッセージを読み取ってもらいたいと考えたからです。
その映像を見終わった後、サプライズを用意! 「約A3サイズの「自分旗」の数倍のサイズの大きな「学年旗」をつくらない?」と提案。
学年のリーダーに音頭をとってもらい、自分たちが持って来たたいせつなものや思い出の品を配置しながら、もう一度テラスで15分の時間を過ごしました。皆がひとつの旗の中にそれぞれの「時間」を焼付けました。
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現像は水で行い、現れた鮮やかなブルーの旗に一同歓声が上がります。
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現像後の作品を床に並べて見合いました。感光紙のときとは異なり、太陽光の強い光で、不透明なパレットに光が透過し、リアルに写るという意図しなかった効果も得られました。
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「自分旗」はお互いに結びつけられる仕様になっており、担任の先生も含めた54枚の旗が繋がり、綾上小学校のエントランスを彩りました。卒業式までこの作品は展示され、その後、「かがわ・山なみ芸術祭」で綾川町の風にはためく予定です。
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今回の授業開催にあたり、お世話になった綾上小学校の校長先生をはじめ、授業にお力を頂きました先生方に深く御礼申し上げます。
最後に児童の感想をご紹介します。
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児童はたちは制作を通して、6年間一緒に生活して来た友人の大切にしているものが何かを、新たに発見するということに大きな関心があったことがわかります。
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関連リンク
●芸術祭クラウドファンディングの詳細はコチラ! https://motion-gallery.net/projects/kyaf2016ayagawa
●かがわ山なみ芸術祭2016綾川町エリア http://kyaf2016ayagawa.wix.com/dialoguewithnow
●かがわ山なみ芸術祭2016 http://www.monohouse.org/yamanami/
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