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執筆者の写真Shunya.Asami

【Lecture 2017】ー被爆樹木について、今について、未来について語ろうートークセッションレポート

更新日:8月2日

去る2017.12/10、14:00-16:30。


SMFアート井戸端企画

【被爆樹木について、今について、未来について語ろう】を埼玉県立近代美術館3階講座室にて開催しました。








文筆家の杉原梨江子さんとは被爆70年(2015年)の節目の年に、旧日本銀行広島支店で開催していた個展で出会い、何か一緒にできれば良いなあと考えていたことが昨日実現しました。





杉原さんは広島にある被爆樹木の写真を示しながら1本1本にまつわる物語を伝えてくれました。樹木と人間との関係や、樹木を通して広島を考える行動から、被爆樹木があの日の広島についての語り部として大切な役割を担っていることを話されました。



次に私から、2012年に被爆樹木に出会い、毎年制作を続けていることで感じたことや考えたことをお話ししました。



同じ被爆樹木というモチーフを扱いながらも、杉原さんと私の表現の仕方は異なります。しかしながら、その被爆樹木を通して伝えたい想いに共通点があることを強く感じ、勇気が湧いてくる時間となりました。






トークセッションでは活動への大きなヒントや示唆をいただくことができました。



大きなキーワードは「距離感」

被爆樹木を知らない人との「距離感」 被爆樹木とともに生きている人との「距離感」 広島に住んでいる人との「距離感」 広島に住んでいない人との「距離感」 被爆した方との「距離感」 長く活動されてきた方との「距離感」 作品を通して関心を持っていただいた方との「距離感」 そもそも無関心な人との「距離感」



ひとつの対象からその人への「距離」は本当に様々で、作品を通して出会う人との「距離」の違いに悩んでしまう事も多々あったこともお話ししました。


広島とは何の縁もない自分がなぜ、被爆樹木を撮り続けるのか。


元をたどれば、東日本大震災を契機に、自分の生きるために欠かすことのできない電力がどこから来ているのかも知らず生きていたこと、それから原子力について考える機会を得て、まず広島へ行かなくてはならないのではないかと思い立ち、訪れた広島で出会った被爆樹木。


なぜすぐに福島に向かわなかったのか?と問われる事が多々あります。

親戚がいた福島へは、近かったためか遠く、震災後初めて訪れたのは5年が過ぎてからでした。


それが私の「距離感」。


活動を続けていく中で、出会った人たちとの交流によって自分の「距離感」が意識され、同時に目の前の人の「距離感」を知ることにも繋がっている。これは活動をしていなくては得ることができないもの。


「距離感」は「対象へのリアリティ」でもあると考えていて、広島へ訪れて被爆樹木と出会うことがなく、原爆ドームや陳列されている展示物との「距離感」だけでは、おそらく自分は活動をしていない。今、ともに同じ時間を生きている被爆樹木との出会いは、実際に触れて考える事、「過去」として考えていると見えないものがある事、現在までつながる課題をどのように考えれば良いかのアイデアをもたらしてくれたように思います。



その「リアリティ」は、自分の活動の動機のエネルギーとなり、現在も自分を突き動かす。



その私の「距離感」は、様々な物事や考え方に出会う事に繋がっています。

続けていこうと思います。                 



年の瀬のお忙しい中、ご来場いただきました皆様、また貴重な発表の機会を与えてくださったSMFのメンバーの方に深く御礼申し上げます。



●関連リンク

・SMF(サイタマミューズフォーラム) http://www.artplatform.jp/

SMFはアートの力で地域とミュージアムを結び、多くの人がつながっていくためのプラットフォームです。随時メンバー募集中です。

・電子書籍写真集「呼吸する影」発売中!







写真:©M.K



「被爆樹木について、今について、未来について語ろう」

被爆樹木を知っていますか? 1945年8月6日8:15。 被爆してもなお今も生きている樹木がヒロシマには約170本あり ます。

被爆樹1本1本を訪ね歩き、その木について紹介するとともに、 被爆当時の記憶のある方々や「被爆樹木」を守っている方々の お話しも伺ってまとめた「被爆樹巡礼」 の著者で文筆家の杉原梨江子さん

東日本大震災を契機に、広島を訪れ、 2012年より毎年被爆樹木の「今」をフォトグラム( カメラを使わない写真)で表現している写真作家の浅見俊哉さん 2人のお話を聞きながら、「被爆樹木について、今について、 未来について語る」時間になります。 ぜひ皆様お誘い合わせの上、ご来場いただければ幸いです。

●講演者プロフィール

杉原梨江子(スギハラリエコ)

文筆家。広島県出身。叔父が被爆体験証言者。日本の木の文化、 世界の木にまつわる伝承や神話、 植物と人間との交流の歴史を研究。被爆樹、巨樹、 御神木などへの取材撮影の旅を続けながら執筆活動を行う。

著作に『被爆樹巡礼〜原爆から蘇ったヒロシマの木と証言者の記憶』(実業之日本社)、『花のシンボル事典』(説話社)、『自分を信じる 超訳「北欧神話」の言葉』(幻冬舎)、『聖樹巡礼』(PHP研究所)など。日本文藝家協会会員。(2017年現在)

杉原梨江子オフィシャルサイト http://www.rieko-sugihara.com/ foomii メルマガ「杉原梨江子の聖樹巡礼 巨樹が語る、森の知恵」 http://foomii.com/00086

浅見俊哉(アサミシュンヤ)

写真作家・ワークショップデザイナー・キュレーター、1982年 東京都葛飾区生まれ。 東日本大震災を契機に広島に訪れ、2012年から広島の被爆樹木 を撮り続ける。 2017年10月、 6年間撮影し続けてきた作品をまとめた電子書籍写真集「呼吸する 影-被爆樹木のフォトグラム-」を発表

主な作品発表展覧会は、Mite!おかやま(岡山県立美術館 )、Eternal Echo(NY・A-forest-Gallery)、 呼吸する影ー被爆樹木のフォトグラム(ニコンサロン・ 旧日本銀行広島支店・galleryGなど)、 かがわ山なみ芸術祭、中之条ビエンナーレなど。 主なワークショップは、モホイ=ナジ・インモーション展関連WS 『影をつかまえる』(神奈川県立近代美術館・葉山/DIC川村記 念美術館 )、紙上の技法学関連WS(武蔵野市立吉祥寺美術館 )など。

浅見俊哉作品サイト http://asa19821206.wixsite.com/shunya-asami

●日時:2017年12月10日(日)14:00-16:30

●会場:埼玉県立近代美術館3階講座室

〒330-0061埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1 JR京浜東北線 北浦和駅西口より徒歩3分


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