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  • 執筆者の写真Shunya.Asami

【Workshop 2009】岡山県立美術館―『影撮―フォトグラムワークショップ―』レポート

去る、2009年9月22日(火・祝)

岡山県立美術館で『影撮―コピアートプリントワークショップ―』を行いました。

活動レポートを紹介いたします。



※1









岡山県立美術館の教育普及事業 「こんにちは美術館」というプログラムの中で、(午前の部)10時~12時 (午後の部)14時~16時の2回に分けてワークショップを行いました。

当日は、天気が心配された一日でしたが、午前の部は曇り、午後の部では小雨という天候で、ワークショップを無事行うことが出来ました。

プログラムの構成は、

①自己紹介

②作品紹介

③作品の制作方法の説明

④作品の素材探し

⑤作品制作(露光~現像)

⑥作品鑑賞会




※2


美術館の中での説明では、「身近な素材を使って作品を制作していること」を話しました。

「身近な素材」には、自然物や人工物だけでなく、風や時間といった概念的なものも含まれます。

映像やスライドを使って伝えました。

美術館を飛び出して「作品の素材を探しに行こう!」ということで、岡山後楽園まで素材を探しに行く途中。

美術館を出てすぐの横断歩道で、素材になりそうなものを発見!



しかし!赤信号の為、しばらくは見ているだけ!子どもたちは早く手に入れたくてウズウズ…。

「制作をしよう!」という視点があると、普段見過ごしてしまうものたちが素材として見えてくる。

「制作するということは、日常生活に働きかけること。

そしてその日常を注意深く観察すること。

その中にある美しいものに気づくこと。」

今回、参加者の方たちとの関わりの中で改めて実感しました。




この素材を持って後楽園を歩く。どんな作品が出来るのかワクワク!!

到着すると真剣に作品の素材になるものを集め始める!

「後楽園では沢山の木の実や葉などの自然物があった!」「僕の素材はどう?」と集めた素材を見せてくれます。

タバコの吸い殻を集める参加者も。吸い殻もただのゴミではない視点が作品に活かされます。

其々拾った材料の交換をする場面もありました。



※3






初めは、見つけた素材をただ並べていただけで作品を制作していたけれど、次第に露光の時間や影の重ね方などを自分なりに工夫をし、素材を加工したり、自分が表わしたい形から素材を選んだりする姿が見られました。

親子間でのアドバイスも沢山飛び交いました。

その中で、わが子の作品へのこだわりや考え方を知って、保護者の方が驚くという場面も。




※4




また、曇りという天候がいい方向に働き、野外での露光時間も約30秒~1分と時間に余裕があったため、素材の配置に工夫を重ねることが出来ました。




美術館に戻り、現像し、それぞれ制作した作品を現像をして床面に配置した。参加者全員の作品を一つにして展示しようという呼びかけに、並び方をみんなで考えました。

これまで地域で行ってきたワークショップでは、作品を制作して終わりになってしまうものが多かったのですが、今回美術館でのワークショップでは、制作→鑑賞の流れが自然に行われていました。





作品の形をみて、何の素材を用いたのか聞いたり、全体を見た時の色のバランスを話し合ったりしながら、自分自身の体験や、鑑賞することよって広がっていくアイデアを参加者皆で共有していたのが印象的でした。

また、午後の部では、小雨が降る中、美術館の周りで素材集めを決行!






自然物だけでなく、美術館の中にある人工物も集まり、集めた材料を皆で共有できるようにしました。



美術館のエントランスなどの明るいところで露光をする(約5分~10分)。室内なので午前中の露光時間より長い時間がかかります。

「早く出来ないかな」と露光の様子を待っている参加者。

この「待つ」時間がこの作品の制作で最も面白い時間の一つだと私は考えています。

材料を探し、構成する時間…露光する間に流れる時間…自分のイメージがどんどん膨らんでどうなるのか完成を予想するこの「待つ」露光時間も大切な制作時間なのです。

作品の枚数を重ねるごとに試行錯誤やこだわりが作品に生まれていました。




(ファイルを重ねて階層を制作)



(水滴を用いた表現)



(展示作品の映像を用いて)


鑑賞の時間では、午前の部と同じように、皆の作品の並び方を考えました。

作品のまわりを円を囲んで意見を出し合ったり、くるくる周ってみたり、一つの作品に注目して意見を交わしたりしながら次第にこのワークショップでの「作品」が完成していきました。








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ワークショップ終了後、制作した「作品」が展示されました。

全体を振り返って

親子での参加が多く、また普段から美術館でのワークショップを数多く経験していることから、作品をつくったり人と作品を通してコミュニケーションをしたりすることが自然に行われる環境でワークショップが出来たことが私自身とても安心し、楽しむことが出来ました。

また、参加していただいた保護者の方は、こどもが制作するのをただみているだけでなく、子どもと一緒に制作することで、子どもの想像力を広げていたように感じました。

例えば、保護者の方が集めてきた材料を一緒に何に使えるのか考えてみたり、光の効果的な当て方をアドバイスしたりすることでさらなる作品の工夫が生まれました。

また参加者の大人の方は、無意識のうちに子どもに対して安全の配慮や届かない場所にある素材を取ってあげたりといった支援を行う場面が多くありました。

さらに美術館という空間でのワークショップということから、作品をただ制作するだけでなく、ワークショップをやっていない人にも見てもらおう!という呼びかけから作品の展示方法を考える鑑賞の時間も行われました。

参加者は、主体的に作品を床面に配置し、次第に円になり制作の意見や考えを話合う活動が行われました。 自らが体験してきたことを皆と共有できた有意義な時間になりました。初めて顔を合わした関係にも関わらず、お互いを共有する意識のようなものがワークショップを通して生まれたように感じられました。

こうした「時間」と「場」を今後も、まだ知らぬ誰かと一緒につくっていきたいと強く思いました。

最後になりましたが、今回の貴重なワークショップの機会を与えてくださった岡山県立美術館の岡本様をはじめ、関係スタッフの方々に深く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。




以下、ワークショップ詳細(岡山県立美術館HPより抜粋) http://www.pref.okayama.jp/seikatsu/kenbi/workshop.html

現代アートってなぁ~に? アーティスト浅見俊哉氏とともに ―風と音、目に見えないものを形にしてみよう―

 内  容  「現代の美術って、何を表現しているのかわからない」「現代の 美術って、どうやってみたらいいの?」という声を耳にします。  そこで、今回のワークショップでは、アーティスト浅見俊哉氏と 一緒に、現代アートについて考えて見ましょう。

 日  時 平成21年9月22日(火・祝) (午前の部)10時~12時 (午後の部)14時~16時

講  師  浅見俊哉氏 (アーティスト/2006年「Mite!おかやま」出品

対  象  各回とも小・中学生(保護者同伴可)20人程度(先着順・事前申込)

写真 ※1~※7 岡山県立美術館提供






開隆堂・中学校美術科教科書にワークショップの様子が掲載されました。 

(追加記事2012年8月7日)




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